世田谷区 どんな人も自分らしく 障がい者放課後等デイサービス らしさ

Sさんの場合

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いつか
社会に出る日のために

Sさんの場合

共働きで2人のお子さんのいるSさん一家のご長女は、
6歳から「らしさ」を利用し始めて丸5年。
最後の小学校生活を迎えようとしている今、
Sさんに利用し始めた頃から
現在までのお話を伺いました。

Mさんの場合

順応性を高める練習

―利用のきっかけはどんなことでしたか?

うちの子は、精神運動発達遅滞があり、愛の手帳(*)の2度(重度)です。当時まだ6才なので社会性がないのは当然なんですが、とにかくずっと泣いている子でした。人見知り・場見知りが激しくて、本当にずーっと泣いて。知らない集団に対する極度の緊張があるみたいで、その対応でへとへとでした。
(*)知的障害のある方に交付される手帳療育に通っても全然手応えがないし、デイ(サービス)に入れるのも不安がありました。療育の担当の方にも「この子ちょっと……」と言われるくらい泣くから、預けたら相手は大変すぎるんじゃないかと思ったり。でも、当時の彼女にとっての社会は家庭だけで済んでいても、いつかは社会に出て行くわけで、心を鬼にしてこの子を社会に出して、順応する練習をしていかなきゃと思ったんです。

順応性を高める練習

また、きょうだい児との時間の確保の目的もありました。娘より2つ上の兄は障害に関する物分かりが良く、妹の面倒をよく看てくれます。そこに甘んじてしまい、その子の気持ちをつい見落としてしまいがち。甘え下手になった兄との時間を大事にするためにも、娘には土曜日にデイへ行ってもらうこともあります。障害児に多くの時間を費やしている日常の中で、きょうだい児の想いも同様に気が付いてあげなければと、反省の日々(笑)。

順応性を高める練習

私は、娘が未就学児の頃、自分の理解を深めたり娘のような子たちとの接し方を学ぼうと医療支援の資格を取ろうとしていたんです。資格取得を支援してくれる世田谷区の方から「らしさ」のことを聞いて、よそのデイの利用も検討していたのですが、スタッフの方や施設環境のよさから「らしさ」の利用を決めました。

誠実さと逃げ場の存在

―利用しはじめた頃はいかがでしたか?

現在は経営陣にいる日髙さんが当時はまだ研修中で、若いスタッフののびのびした雰囲気がとても印象に残っています。当時ちょっとしたミスがあった時、その謝り方や対応がとても誠実で。人間誰しも間違えはするし、その後の対応が大切だと思うのですが、彼の人柄にとても安心しました。
気持ちをもって娘と接してくれているのがよく伝わって、ベテランの方に覚える安心感とはまた違う良さでした。そうして今に至りますが、あんなによく泣いていた娘が、まだ泣きはしますがそれでも楽しそうなんですよ。スタッフの雰囲気や居心地の良さを、彼女も全身で感じているんだと思います。

当時は研修中、現在は経営チームに在籍する日髙▶
現在は経営チームに在籍する日髙

また、娘が小さいときから意識しているのは、「いつかは自立する」ということ。ストレスのかかることも少しはやらせて、「世の中は自分の思い通りにいかない」ということを経験させるようにしています。ストレスに強くなるのもいいけど、私は、ストレスを感じた時に「自分で対処できる」ようになってほしいなと。
障害の有無に関係なく大事な力ですが、特に障害のある子だと、比較的周りに守られる立場になりやすいと思うんです。でも、外の世界に出た時にきっと不慣れな荒波に飲まれるだろうから、それで沈まずに自分で解決する力をつけてほしい。例えば「嫌なことから離れる」というのも一つの対処。「らしさ」の施設は広いから、お友達ともめたりしても物理的に離れられる場所がある。そういうちょっとした工夫ができる環境で練習していってほしいし、「らしさ」ではそれができると思っています。

◀らしさの施設は一軒家。高い塀に囲まれ中庭もあり、周りの音や視線を気にせず過ごせる
現在は経営チームに在籍する日髙
―その後の娘さんの調子はいかがでしょうか。

うちの子は言葉をほぼ話さないので本心はわかりませんが、楽しんでいるのは態度で感じます。送迎バスに乗る時の足取りの軽やかさや、帰ってきてからのご機嫌さ。「らしさ通信(*)」なんて、もうボロボロになるまで見ています。スタッフさんのことも大好きで、関わりを楽しんでるんだなというのが伝わりますね。彼女にとっては「らしさ」もひとつの社会なので、そこに順応できているのはよかったです。
今は諸事情で利用を控えているのですが、毎朝連絡帳をもって「らしさ! らしさ!」って言ってくるんです。好きな場所になったんだなと感じますね。
(*)スケジュールや活動の様子を伝える、利用者への広報物

娘さんが大好きで手放さないというトーマスグッズ▶
現在は経営チームに在籍する日髙

「対障害」「対個人」に
どう向き合うか

―いつも泣いていた娘さんも、「らしさ」ではご機嫌なことが多いみたいです。
成長した今、向き合っている課題はありますか?

とても個人的な話になりますが……排泄のこと。トイレ自体は幼稚園時に行けていましたが、大きい方だけできないんです。だから11歳の今も排便の時はオムツをしていて、この年齢でも「トイレで大をしたくない」と感じることにどうしたものかと。
「中学生にもなるのに」と私が思うことも、娘が緊張のあまり「オムツじゃないとイヤだ」と感じることも、排泄のことなんて本当にパーソナルなことだとは思うんです。でも、これをどこまで良しとするかという判断に非常に悩んでいて。
親も子どもも甘えているのかなと悩んだり、きちんとさせようとする自分と、障害があるから許容しようと思う必要があることと、何を良しとすればいいかが本当にわからない。
大人になろうとしている今、娘自身のこだわりやパーソナルなことも考慮して、どこまで介入しようかというのが目下の課題です。世の中に答えがないものはたくさんありますが、これこそ本当に答えがないと思います。今回のこの記事を読んだ方で、お子さんのトイレで課題を感じている方が「こういう人もいるんだ」と少しでも安心というか、他のケースを知る機会になれたらと思います。

現在は経営チームに在籍する日髙

「週3勤務+らしさ利用」の1日

―この記事の読者の方には、デイサービスの利用で
自分の生活はどんな流れになるのか?と検討中の方もいるかと思います。
Sさんの1日のタイムラインを教えていただけますか?
「対障害」「対個人」

コロナ禍のいま仕事は休んでいるのですが、普段は週3で仕事をしています。
その時を例にすると、

06:30 起床、朝食の支度
07:30 身支度、娘の支度(髪の毛のみ)
09:00 出社
16:30 退勤
17:30 買い物、帰宅
18:00 迎え
19:00 夕飯
20:00 風呂
21:30 寝かしつけ、家事
22:00 連絡帳や翌日の準備など子どものこと
23:00 就寝

コロナ禍のいま仕事は休んでいるのですが

といった具合です。夫は朝担当、私は夜担当。夫にも育児の責任を一緒に感じて欲しいので、しっかり分担しています。子どもの持ち物が抜けていることはしょっちゅうですが、私より夫の方が今の「らしさ」の活動を知っていたりして、だいぶ彼も積極的になりました。

その様子を外の人にも見られることで、周りからも「そういう人」と認識されさらに責任感が増し……という循環を期待しているので(笑)、バス停への送りも夫の担当。そのせいかわかりませんが、以前はほぼ母親しか来なかったバス停での父親率が上がったみたいです。在宅勤務の傾向もあるでしょうけど、父親率が高くなり彼らのコミュニティもできてきて、いい感じだと思います(笑)。

娘さんがつくった大型サイコロ▶
順応性を高める練習

親は安心できて、
子どもの世界も広がる

―最後に、この記事を読んでいる方に向けてメッセージをお願いします。

デイをまだ利用したことのない方へは、「安心して預けて大丈夫」と伝えたいです。我が家も、誰かに預けることに対して懸念はありました。でも「らしさ」が責任をもって預かってくれるからそんなに気にしなくていいと今は思えます。それに、あんまり自分の子どもを囲いすぎても、将来的に親子共々疲れてしまったり、子どもも世の中を知ることは大事なので「世の中と繋がる機会」と捉えて預けてみるのはいかがでしょうか。
責任をもって育児するあまり1人で抱え込んでしまう経験は、子をもつ親なら誰もが身に覚えがあると思います。「デイに預けてばかりせず、たまには家で見た方がいい」という声も聞いたことがありますが、親だって人間ですからね。どこかで息抜きしないと潰れちゃいますよ。潰れて子どもの面倒を見れなくなったら本末転倒。潰れるほどでなくとも、自分が大変だと思うなら、これは比較の問題ではないので気にせずデイに預けていいと私は思います。

情報を辿ってやっと参加できた療育も「伸ばす」ことに観点があったりして、「成長」が前提なことがしんどい時もあると思います。現状の肯定以上に「この子をあそこまで伸ばさなきゃ」と過度なプレッシャーを感じることもありますよね。「自分に課せられたもの」から少し離れる意味でも、デイの存在は親にとってのいい息抜きになるんじゃないかなと思います。

取材:2022年2月
子どもの世界も広がる

らしさからのコメント

スタッフの日髙です。子ども達の心の安定に必要なのは、親御様の心の安定です。らしさに預けている間、スタッフは子ども達に愛情を持って楽しさを提供いたします。その間、お仕事やお家のこと、リフレッシュなどお子様がいる時にできないことを存分にしていただき、お家に帰ってきたら、お子様からはらしさでどんなことがあったのか、親御様からは、お子様がらしさに行っている間何をしていたのかなど、話題にしていただけると嬉しいです。
困っていること、わからないことなどは、何でもご相談ください。

らしさからのコメント
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